結論から言えば何とも味気ない話だが無名騎士藩国には美少年が居ない、そりゃもうガッカリだ。
加えて、藩王様も男勝りの傑物でその藩民も益荒男揃い、華やかさとは実に程遠い場所であった。それについては藩の誰もが自認するところで、誇りでもあった。ソーニャがやって来たことで、女性が増えて華やかになったね~と盛り上がっていたくらいであることからその実態を伺い知ることができた。
大層歓迎されはしたものの、ソーニャはいじけていた。
/*/
藩王の右腕として摂政を務める、雨霧緋龍はその美貌と社交的かつ大変フランクな人柄の女性として藩民の人気を集めているアイドル的カリスマを持っていた。彼女は新入りのソーニャに対しても分け隔てなく接していた。
「さてさて、今日はソーニャちゃんにどんなイタズラをしてあげようかしら」
-----ただし根っからのSだった。-----
彼女は、美少年が居ない事でソーニャが悶々としているのを見抜くやいなや、にやにや笑いながら思案を巡らせた。
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ソーニャはここ最近会話に対して集中力を途切れさせがちで、話の最中ぼんやりしている事が多かった。大体のところ美少年の妄想をしている。
「ソーニャ、ちょっとちょっと」
この時もかなり重度な妄想をしている最中であったが、呼ばれて返事が出来ない領域までは踏み込んでいなかったので、直ぐに返事をかえした。
「何です、緋龍さん?っはうぁ!」
緋龍は半ズボン姿の金髪少年のブロマイドをヒラヒラとはためかせながらソーニャの前に立っていた。
「これな~んだ?」
「うひ、うひひひひひ~」
途端にだらしなく且つ恍惚とした表情でソーニャは不気味な笑いを浮かべると、緋龍にむかって、いやブロマイドめがけて歩き始めた。締まりのない顔からよだれも垂れていた
「うは、何この娘、面白っ!」
緋龍はケタケタ笑いながらブロマイドを猫じゃらしのように扱い、それに飛びつこうと必死になるソーニャを飽きるまでからかって遊んだ。

その日の夜。
何故か小笠原の制服を着ているソーニャ、そこへ同艦に所属していたアプルが同じく制服姿で現れる。
再開を喜ぶ二人が、しかし旧友の雰囲気が何処か違う
「何だか、ちょっと色っぽくなった気がするけどどうしたの?」
と、ソーニャが尋ねると、アプルは少し頬を染めながら左手を見せた、薬指に銀の指輪を付けていた。

「私、結婚するの相手は地球人の成人男性よ。ね、ナカイド………」
ソーニャは絶句した。次に目に飛び込んで来たのは、姉妹の様に親しかったあのアプルが自分と正反対の趣味の男と寄り添って幸せそうにしている姿だった。そのまま二人は笑顔でソーニャの前から遠ざかって行く。
「ウソだぁぁぁぁぁ」
と、叫んだ所でソーニャは夢から醒めた。自国は深夜、額から冷や汗が落ちた。

どうやら彼女にとって美少年成分の不足は、予想外に深刻な問題のようであった。(続く)
大層歓迎されはしたものの、ソーニャはいじけていた。
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藩王の右腕として摂政を務める、雨霧緋龍はその美貌と社交的かつ大変フランクな人柄の女性として藩民の人気を集めているアイドル的カリスマを持っていた。彼女は新入りのソーニャに対しても分け隔てなく接していた。
「さてさて、今日はソーニャちゃんにどんなイタズラをしてあげようかしら」
-----ただし根っからのSだった。-----
彼女は、美少年が居ない事でソーニャが悶々としているのを見抜くやいなや、にやにや笑いながら思案を巡らせた。
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ソーニャはここ最近会話に対して集中力を途切れさせがちで、話の最中ぼんやりしている事が多かった。大体のところ美少年の妄想をしている。
「ソーニャ、ちょっとちょっと」
この時もかなり重度な妄想をしている最中であったが、呼ばれて返事が出来ない領域までは踏み込んでいなかったので、直ぐに返事をかえした。
「何です、緋龍さん?っはうぁ!」
緋龍は半ズボン姿の金髪少年のブロマイドをヒラヒラとはためかせながらソーニャの前に立っていた。
「これな~んだ?」
「うひ、うひひひひひ~」
途端にだらしなく且つ恍惚とした表情でソーニャは不気味な笑いを浮かべると、緋龍にむかって、いやブロマイドめがけて歩き始めた。締まりのない顔からよだれも垂れていた
「うは、何この娘、面白っ!」
緋龍はケタケタ笑いながらブロマイドを猫じゃらしのように扱い、それに飛びつこうと必死になるソーニャを飽きるまでからかって遊んだ。

その日の夜。
何故か小笠原の制服を着ているソーニャ、そこへ同艦に所属していたアプルが同じく制服姿で現れる。
再開を喜ぶ二人が、しかし旧友の雰囲気が何処か違う
「何だか、ちょっと色っぽくなった気がするけどどうしたの?」
と、ソーニャが尋ねると、アプルは少し頬を染めながら左手を見せた、薬指に銀の指輪を付けていた。

「私、結婚するの相手は地球人の成人男性よ。ね、ナカイド………」
ソーニャは絶句した。次に目に飛び込んで来たのは、姉妹の様に親しかったあのアプルが自分と正反対の趣味の男と寄り添って幸せそうにしている姿だった。そのまま二人は笑顔でソーニャの前から遠ざかって行く。
「ウソだぁぁぁぁぁ」
と、叫んだ所でソーニャは夢から醒めた。自国は深夜、額から冷や汗が落ちた。

どうやら彼女にとって美少年成分の不足は、予想外に深刻な問題のようであった。(続く)
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